救急車の有料化はいつから?車内で記念撮影する非常識な患者には搬送代の料金を請求するべき。

119番で救急車を呼ぶ時は、命の危険を感じた時。

そんな当たり前の感覚がない人達が多く、救急車をタクシー代わりに使う人が増えています。

そんな中、岡山市消防局では「救急車は映えスポットではない」と救急車内で記念撮影をし「救急車なう」
などとSNSへ投稿する人達へ苦言を呈しました。

中には消防隊員に一緒に写真をお願いする人もいたそう・・・。あきれて物も言えませんね。


出動件数は年々増えていますが、病院へ搬送された患者のうち、なんと45%ほどが「軽症」とのことです。

有料化についてはかなり前から議論されていますが、残念ながら今のところ「検討」のままで、患者へ請求することができないのが現状です。

三重県松阪市が救急車を有料化するというニュースが話題となりました。

しかし、これは救急車の利用全てが有料化という訳ではありません。松阪地区のより重篤な患者を受け入れている3病院に搬送されて、入院に至らない場合において「選定療養費」として7,700円を請求するというものです。
※入院されなくても、医師から救急搬送が必要と判断された場合は費用は徴収されません。

したがって、全国的な救急車利用の有料化については、まだまだ検討段階のままです。

目次

救急車利用で費用が発生するケース

救急車の搬送代として自治体に支払うことはありませんが、松阪市の病院のように搬送先の病院に支払いが発生する場合があります。

それは、特に緊急性の高い患者の受け入れ可能な病院に搬送され、重篤でない場合に徴収される
「選定療養費」という料金です。初診であれば高いところでは1万円以上を請求されることもあります。

ただこれはあくまで病院への支払いです。自治体への支払いではないため、救急スタッフの方は報われません。一刻も早く有料化していただきたいですね。(あくまで適正利用の促進が目的です)

救急車の諸経費はいくらかかっている?

救急車1回の出動に必要な経費は、人件費・ガソリン代・車内で使用した消耗品など諸経費を入れて45,000円もかかっています。そしてその費用は税金で賄われています。

タクシー代わりとして利用する人が多ければ多いほど無駄に税金が使われていきます。

総務省が公開している令和5年の救急車の出動件数は、763 万 7967 件 となっています。
したがって、利用料の試算をすると・・・とんでもない額です。

1件の費用出動件数総費用
45,000円763万7967件約3437億

有料化については医師たちも賛成

大手医療サイトm3が開業医・勤務医を対象にとったアンケート「救急車の利用を有料化する案について、どう思いますか?」の質問に対して80%以上が「有料化すべき」と答えたとのことです。

医師の意見としては、

「あまりにもタクシー代わりとして使用する人が多い」

「利用基準を定めて患者から徴収すべき」

「有料となれば呼ぶ前にいったん考える」

「足がないからといって救急車を呼ぶ人には効果がある」

「適正利用の場合は後から返金するシステムなどを作ればいい」

「救急車だと待たなくていいからなどの安易な利用が減る」


など、医師を含めた医療従事者の多くは有料化すべきと考えています。

参考記事:m3.com 救急車、医師の8割以上が「有料化すべき」

https://www.m3.com/news/open/iryoishin/1160534

有料化とならない理由は?

これだけ有料化に賛成する医療従事者がいるにも関わらず、なぜ有料化とならないのでしょうか。
有料化とならない理由(懸念点)として以下の意見があります。


「軽症は結果論であって有料化すると救急車利用控えで病状悪化に繋がる」

「同時に貧困者を救済する制度も必要」

「有料化すると高いサービスを求められる可能性がある」

「適正利用かどうかの判断が難しい(誰が判断するのか?)」

「患者とのトラブルが増加する」

「第三者が要請して、本人・家族が支払いを拒否したらどうするのか?」

などの有料化することによって新たに発生する問題に懸念あり、有料化に踏み切ることができていません。

緊急時に知っておきたいサービス

緊急時は気が動転して、医療関係者でない人にとっては救急車を呼ぶほどの事態なのか判断が難しい場合があると思います。そんな時に利用したいのが以下のサービスです。

救急安心センター事業(#7119)・小児用(#8000)

救急安心センター事業は、急な怪我や病気をした時に救急車を呼んだ方がいいか、今すぐに病院にいった方がいいかなどを専門家からアドバイスを受けることができる電話相談窓口です。

電話で、医師・看護師などが相談をうけ、受診できる医療機関等の案内をしてくれます。

全国版救急受診アプリ(Q助)

Q助は病気や怪我をした時、症状の緊急度を素早く判断するために消防庁が提供しているアプリです。
緊急度が高いと判断された場合はアプリから119番に電話できます。※Web版とスマホアプリ版があります。

海外の救急車の料金

日本は完全無料となっていますが、世界ではどうでしょうか。海外では多くの国が救急車利用は有料としています。

また、公営と民営が運営する救急車があり、有料・無料に違いあります。また都市によっても金額の設定に違いがあります。

アメリカ(ニューヨーク)

公営の場合】 (救命士乗車なし) 8.5万円、(救命士乗車あり) 15.5万円
【民営の場合】2.5万円〜 

フランス(パリ)

【公営の場合】無料
【民営の場合】1万円/10km

イタリア(ローマ)

【公営の場合】無料
【民営の場合】4万円〜

ドイツ(フランクフルト)

【公営】5万円

韓国(釜山)

【公営】無料
【民営】9万5千円

シンガポール

【公営】無料
【民営】6.5千円〜

オーストラリア(シドニー)

【公営】1.3万円+330円/km

無料の国(香港)

全国で無料となっています。ただし香港に住んでいる人のみで外国人観光客などは有料です。

海外と比べてみても、全国で誰でも無料(外国人観光客も含む)と設定しているのは日本くらいです。
日本の医療制度は世界からみても充実していますが、過剰という考え方もあります。

まとめ

本来搬送されるべき患者に救急車が利用できる環境と、救急スタッフの負担軽減のために救急車の有料化は必要です。

デメリットもいくつか挙げられますが、しっかりとしたルールがあれば有料化の運用は可能だと思います。

人員不足のいま、少ない人手で効率よく運営するには利用者をふるいにかけるしか方法がありません。

まずは明らかに救急車が不要である場合の搬送について有料化するなど段階的な対応を期待します。

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