【医療事務必見】マイナ保険証トラブル対応の完全マニュアル|受付で起きる3大トラブルと解決策

「また顔認証がエラーになった…」
「ただ何となく出してもらってるけど、資格確認書って何ですか?と患者さんに聞かれると、しっかり説明ができる職員が少ない…」

2025年12月1日、私たちが長年使ってきた紙・プラスチック製の保険証の新規発行が終了しました。現在、医療機関での本人確認は「マイナ保険証」または「資格確認書」のいずれかが必要です。
※厚生省が発表した特例措置として「従来の保険証」も2026年3月末まで使用可能です。

しかし、制度移行から約2か月が経過した今も、現場では混乱が続いています。

  • カードリーダーが反応しない
  • 患者さんが「資格情報のお知らせ」と「資格確認書」を混同している
  • 負担割合が不明で会計が止まる

こうしたトラブルに、医療事務スタッフが日々振り回されているのが実情です。本記事では、受付で起きる3大トラブルとその実務的な解決策を徹底解説します。

目次

保険証廃止で何が変わった?医療事務が知っておくべき3つの確認パターン

まず、保険証廃止後の資格確認方法を整理しましょう。
現在、患者さんの保険資格を確認する方法は 3パターン に分かれます。

① マイナ保険証を持参した場合

マイナンバーカード、またはスマートフォンに保険証機能を登録した「マイナ保険証」を持参した場合、専用リーダーを使ってオンライン資格確認を行います。

● 顔認証または4桁の暗証番号(スマホの場合はスマホに設定した認証方法)で本人確認

● 過去の診療情報・薬剤情報の共有に「同意する/しない」を選択

● 処方箋は「紙/電子処方箋」を選択

スムーズに進めば30秒程度で完了しますが、機械が苦手な高齢者初めてマイナ保険証を使う患者さんの場合、この30秒が3分、5分と伸びることも珍しくありません。

② 資格確認書を持参した場合

マイナンバーカードを持っていない人には、自治体から「資格確認書」が郵送されます。これは紙の証明書で、従来の保険証と同様に目視で確認します。※マイナンバーカードを持っている人にも「資格確認書」を発行している自治体・保険者もあるようです。

ただし、カードリーダーでは読み取れないため、受付スタッフが手動でオンライン資格確認システムに氏名・生年月日を入力して照合する必要があります。

ここで注意すべきは、資格情報のお知らせという似たような通知との混同です。こちらはただの通知で、医療機関では使えません。患者さんが誤って提示することが多いため、受付で丁寧に説明する必要があります。

③ マイナ保険証も資格確認書も使用できない場合

機器の故障、マイナンバーカードの未登録(保険情報が反映されていない)、資格確認書の紛失などで、保険情報の確認が困難な場合は原則10割負担となります。

2026年3月末までの特例措置として、従来の保険証でも、オンライン資格確認で資格が確認できればそれぞれの負担割合で請求可能です。

この特例措置が終了する2026年4月以降は、マイナ保険証または資格確認書がなければ確実に10割負担となるため、今のうちに患者さんへの周知を徹底することが重要です。

受付で頻発する3大トラブルと実務対応マニュアル

現場で実際に起きているトラブルと、その対応策を具体的に解説します。

① 顔認証・カードリーダーのエラー

【よくあるパターン】

  • 顔認証カメラがうまく反応しない(マスク着用、メガネの反射、照明不足)
  • カードの向きが間違っている
  • カードリーダーが「読み取りエラー」と表示される

【実務対応策】

● 顔認証がうまくいかない場合

「お手数ですが、マスクを一時的に外していただけますか?」「メガネを外していただけますか?」と丁寧に依頼します。それでもダメな場合は、4桁の暗証番号入力に切り替えてもらいます。

※照明の関係で認証がうまくいかないこともあるため、認証失敗が頻発する場合はリーダーの設置場所を変えてみることをおすすめします。日の光が当たりすぎている・暗すぎるなどの観点で設置場所を見つけましょう。

● 暗証番号を忘れた場合

顔認証もできない、資格確認書もなく保険情報の確認が困難な場合は、一旦10割負担で会計し、後日返金対応します。

「申し訳ございませんが、今日は本人確認のみで、後日保険の確認を取らせていただきます」と伝えましょう。
マイナンバーカードの暗証番号は、市区町村の窓口で再設定が必要です。

※暗証番号を3回間違うとロックがかかり使用できなくなります。ロックを解除するのも市町村の窓口での対応が必要となります。

● カードリーダーの不具合

「機械の調子が悪くてご不便をおかけします」と一言添えることで、患者さんの苛立ちを和らげられます。この場合も、手動でオンライン資格確認システムに氏名・生年月日を入力して照合します。

機器の接続エラーなどが発生している場合は、リーダーの電源入れ直し、または、リーダーが接続されているパソコンの再起動で改善する場合があります。どちらをやっても改善されない場合は導入した業者、または、リーダーのサポート窓口に連絡をしましょう。

②「資格情報のお知らせ」と「資格確認書」の混同

【よくあるパターン】

患者さんが「これが新しい保険証です」と言って提示したのは、「資格情報のお知らせ」というただの通知。これでは資格確認ができません。

【実務対応策】

受付カウンターに見本の掲示を用意しておきましょう。

区別をしっかり理解

● 「資格確認書」:保険者名・被保険者番号・負担割合が記載された正式な証明書

● 「資格情報のお知らせ」:保険加入を知らせるだけの通知(医療機関では使えない)

「こちらは通知で、医療機関では使えないんです。お手数ですが、別の書類が届いていないか、もう一度ご確認いただけますか?」と、やさしく説明します。

もし持参していない場合は、「今日は一旦10割負担となりますが、後日資格確認書をお持ちいただければ差額を返金いたします」と案内します。

③ 負担割合の間違いによる会計トラブル

【よくあるパターン】

  • 本来1割負担のはずの後期高齢者に、誤って3割を請求
  • オンライン資格確認ができず、負担割合が不明なまま会計
  • 患者さんの保険情報が未登録で、システムに表示されない

【実務対応策】

● オンライン資格確認ができない場合のルールを事前に決めておく

「負担割合が不明な場合は、一旦3割負担で会計し、後日確認して返金」など、院内で統一ルールを決めておきます。これにより、スタッフごとの対応のブレを防げます。

● 患者さんへの説明テンプレートを用意

「今日はシステムで確認ができなかったため、一旦3割負担でお会計させていただきます。後日、保険証の確認が取れましたら差額を返金いたしますので、次回ご来院時に受付までお声がけください」

● 後日の返金対応の記録を徹底

「いつ・誰が・いくら」を記録するExcelシートやノートを用意したり、返金伝票を作成するなどして返金漏れを防ぎます。返金が発生した患者さんには、電話やハガキで連絡することも検討しましょう。

執筆者のコメント

「機械トラブル」ではなく「制度設計の不備」が原因

私自身、いくつかの病院で受付業務の改善に関わってきましたが、今回のマイナ保険証移行は「制度設計の不備」が現場にしわ寄せされている典型例だと感じます。

「顔認証がうまくいかない」「カードリーダーが反応しない」といったトラブルは、一見すると「機械の問題」に見えます。しかし、根本原因は 「現場の実務フローを無視した制度設計」 にあります。

例えば、顔認証がうまくいかない高齢者に「メガネを外してください」「マスクを取ってください」と依頼するたびに、後ろの患者さんが待たされます。混雑時には、この数分の遅れが積み重なって、待合室がパンクします。

また、「資格情報のお知らせ」と「資格確認書」を混同する患者さんが多いのは、国の広報が不十分だからです。似たような名前の書類を複数発行し、「どれが使えるのか」を患者さんに理解させるのは、現場の医療事務スタッフの仕事ではありません。

しかし、現実には私たちが説明し、患者さんの不安を和らげ、トラブルを収拾しています。「制度の不備を、現場の努力で補う」という構図は、もう限界です。

医療事務スタッフの皆さん、あなたは悪くありません。今日ここで学んだ「トラブル対応マニュアル」を活用し、少しでも負担を減らしてください。

患者さんへの事前周知が、トラブルを9割減らす

トラブルの多くは、患者さんが「何を持参すればいいか」を理解していないことから発生します。だからこそ、事前周知が最も効果的なトラブル予防策です。

① 院内掲示物の設置

受付カウンター、待合室、診察室の入口など、目につきやすい場所に掲示します。

② 予約時のリマインド(メール・LINE・SMS)

予約確認メールやLINEに、持参物の案内を必ず盛り込みます。

【文例】

「◯月◯日の予約を承りました。ご来院時は、マイナ保険証または資格確認書をお持ちください。紙の保険証は使用できませんのでご注意ください。」

③ 受付での声かけ

初診・再診問わず、受付時に「今日はマイナ保険証か資格確認書をお持ちですか?」と一声かけるだけで、トラブルを未然に防げます。

まとめ

2026年4月の特例措置終了までに、院内体制を整えよう

保険証廃止による混乱は、まだ始まったばかりです。2026年3月末までは、旧保険証でも資格確認できれば請求可能という特例措置がありますが、2026年4月以降はこの救済措置がなくなります

つまり、今から約2か月後には、マイナ保険証または資格確認書がなければ確実に10割負担となるため、今のうちに以下の準備を進めましょう。

【医療事務スタッフが今すぐやるべき3つのアクション】

● トラブル対応マニュアルの作成
本記事で紹介した「顔認証エラー」「資格確認書の混同」「負担割合の間違い」の対応策を、院内マニュアルに落とし込みます。

● 患者さんへの事前周知の徹底
院内掲示、予約時のリマインド、受付での声かけを組み合わせて、複数の経路から情報を発信します。

● 院内ルールの統一
「オンライン資格確認ができない場合は、一旦3割負担で会計→後日返金」など、スタッフ全員が同じ対応をできるようにします。

医療事務の皆さん、あなたの努力が患者さんの安心につながっています。

制度の不備に振り回されず、できる範囲で最善を尽くしていきましょう。

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