【医療事務必見】2026年4月から「オンライン診療」が医療法に正式位置づけ!窓口対応で知っておくべき5つの実務ポイント

2026年1月27日、社会保障審議会・医療部会で重要な決定が行われました。2026年4月から「オンライン診療」が医療法に正式に位置づけられ、オンライン診療を実施する医療機関は都道府県への届出が義務化されます。

「うちの医療機関はオンライン診療をやっていないから関係ない」と思われるかもしれません。しかし、この制度変更はすべての医療事務職員が知っておくべき重要な内容です。なぜなら、患者さんから「オンライン診療って何ですか?」「ここで受けられますか?」といった質問が今後増えることが予想されるからです。

また、すでにオンライン診療を実施している医療機関では、2027年3月末までに届出が必要となり、医療事務が手続きを担当するケースも多いでしょう。

本記事では、2026年4月施行の新制度について、医療事務の実務視点で「窓口対応で知っておくべき5つのポイント」を徹底解説します。

目次

なぜ今、オンライン診療が医療法に位置づけられるのか?

厚生労働省医政局の森光敬子局長は、今回の法制化の背景について次のように説明しています。

「オンライン診療について、『オンライン診療の適切な実施に関する指針』に則って適切な推進を図っているが、(とくに美容医療などの自由診療分野において)どこで、どのような医師が、どのように行っているのかが全く見えない。そこで、オンライン診療を医療法に位置付けることで見える化し、オンライン診療指針も、現在の医政局長通知から省令事項(オンライン診療の基準となる)に格上げし、不適切なものに対しては指導等を行うことを可能にした。」

つまり、不適切なオンライン診療(特に自由診療)を防ぎ、適正な医療提供を確保するために、今回の法制化が行われるのです。

ではここから医療事務スタッフが知っておくべき5つのポイントを紹介します。

【1】オンライン診療実施医療機関は都道府県への届出が義務化

何を届け出るのか?

2026年4月以降、オンライン診療を実施する医療機関は、医療機関の開設・変更時に必要な届出において「オンライン診療を実施している旨」を追加することが求められます。

すでにオンライン診療を実施している医療機関は?

2026年4月1日時点で既にオンライン診療を実施している医療機関は、2027年3月末までに届け出れば良いとされています。これは、医療機関の事務負担を考慮した経過措置です。

医療事務が準備すべきこと

● 自院がオンライン診療を実施しているか確認する

● 実施している場合、届出期限(2027年3月末)を管理表やスケジュールに記入

● 都道府県の担当窓口を事前に確認しておく

● 届出様式が公開されたら速やかに入手し、記入準備を進める

【注意点
届出を怠ると、都道府県から指導や立ち入り検査の対象となる可能性があります。「うっかり忘れていた」では済まされないため、必ず期限内に手続きを完了させることが重要です。

【2】「オンライン診療受診施設」という新しい仕組みが登場

オンライン診療受診施設とは?

今回の法改正で新たに設けられるのが「オンライン診療受診施設」です。これは、例えば公民館や郵便局などに設置され、そこのスタッフが機器操作などを支援して、地域住民がオンライン診療を受けやすい環境を整備するものです。

また、「車両」をオンライン診療受診施設として、無医地区などを巡回し、地域住民の医療アクセスを確保することも期待されています。

設置者の要件

注目すべきは、設置者について「医療従事者であること」などの要件は設定されず、個人でも法人でも、さらには営利法人(株式会社等)でも設置・開設できるという点です。

これは規制改革推進会議の議論を踏まえ「幅広い者の設置を認める」こととしたものですが、医療部会では次のような懸念も出されています。

● 有料老人ホームなどがオンライン診療受診施設を設置し、それを謳い文句に高齢者の囲い込みが心配される

● デイサービス(通所介護)などで「オンライン診療を受けられる」ことを集客に使われる可能性がある

● 訪問看護で悪用・不適切事例が報告されているように、営利法人による設置にリスクがある

医療事務が窓口で対応すべきこと

患者さんから「近くの公民館でオンライン診療を受けられると聞いたのですが、どういうことですか?」といった質問を受ける可能性があります。その際は以下のように説明しましょう。

【回答例

「オンライン診療受診施設は、公民館や郵便局などに設置された、オンライン診療を受けやすくするための場所です。当院で直接診療を行うわけではなく、オンライン診療を実施している医療機関と患者様をつなぐ施設とお考えください。詳しくは、その施設にお問い合わせいただくか、お住まいの都道府県にご確認ください。」

注意:オンライン診療受診施設は「医療を提供するものではない」ため、医療機関と混同されないよう、患者さんに正確に説明することが重要です。

【3】「オンライン診療を行っている」ことは広告可能に

広告規制の緩和

今回の法改正により、オンライン診療を行っている医療機関は、その旨を広告できるようになります。また、オンライン診療受診施設等も「オンライン診療を行う医療機関」について広告可能事項を広告できることが明確化されます。

広告例

● 当施設では、医療機関Aの内科専門医の医師○○からオンライン診療を受けることができます

● 急病急変時には、救急告示病院である医療機関Bに受け入れていただける体制を確保しています

● 診療前相談の結果「オンライン診療を行えない」可能性があり、その場合の費用は▲▲となります

医療事務が注意すべき点

自院のホームページやパンフレットで「オンライン診療を実施しています」と広告する場合、医療法の広告規制に違反しないよう、広告可能事項を正確に把握しておくことが重要です。

特に、「オンライン診療基準の遵守に必要な事項」(例:診療前相談の結果「オンライン診療を行えない」可能性がある旨など)も広告可能事項に加えられるため、患者さんに誤解を与えないような表現を心がける必要があります。

【4】「オンライン診療基準」が厚生労働省令に格上げ

現在の「オンライン診療指針」から「オンライン診療基準」へ

これまで、オンライン診療を行う際に遵守しなければならない「オンライン診療の適切な実施に関する指針」は、医政局長通知という形で運用されていました。

しかし、2026年4月からは「最低限遵守しなければならない事項」が「オンライン診療基準」という厚生労働省令に格上げされ、違反等がある場合に厳格な対応が可能となります。

オンライン診療基準に含まれる主な事項

  • オンライン診療を行う医療機関の施設/設備・人員
  • 患者がオンライン診療を受ける場所
  • 患者に対する説明
  • 患者急変時の体制確保

医療事務が確認すべきこと

自院がオンライン診療を実施している場合、「オンライン診療基準」を遵守しているかどうかのチェックリストが厚生労働省から公表される予定です。

医療部会では、「チェックリストの内容をオンライン診療医療機関に公表させ、毎年更新させるなどの対応が有効である」との意見も出ています。

医療事務としては、院長や診療部門と連携して、チェックリストの内容を確認し、不備があれば速やかに改善することが求められます。

【5】不適切なオンライン診療には都道府県が指導・立入検査を実施

都道府県の権限が強化

今回の法改正により、オンライン診療の基準・指針に違反がある場合には、都道府県が指導や立ち入り検査を行うことが可能になります。

これは、「不適切なオンライン診療を放置すれば患者の健康・生命に重大な被害が出かねない」という認識に基づくものです。

具体的な対応

  • 自由診療も含め、原則、オンライン診療実施医療機関・オンライン診療受診施設への指導・立入検査等は、所在する都道府県等が実施する
  • オンライン診療実施医療機関とオンライン診療受診施設の所在都道府県が異なる場合には「都道府県間で連携をとって指導等を行う」
  • オンライン診療受診施設に関しても、「法令違反」「運営が著しく適正を欠く(疑いがある)と認める」場合は、当該施設が所在する都道府県等が、当該施設に対して立入検査・是正命令等を講じる

医療事務が注意すべき点

自院がオンライン診療を実施している場合、都道府県からの指導や立ち入り検査の対象となる可能性があることを認識しておく必要があります。

特に、次のような不適切事例が報告されており、注意が必要です。

  • 「初診での向精神薬処方」などは禁止されているが、「形だけ初診を行い、翌日の再診時に向精神薬を処方する」ケース
  • 電車やタクシーなどの広告で「オンライン診療により、すぐに診断書を出します」とうたっている事例

医療事務としては、院内でオンライン診療の運用ルールを明確にし、不適切な診療が行われないよう、医師や看護師と連携してチェック体制を整えることが重要です。


【実務Q&A】窓口でよく聞かれる質問と回答例

「オンライン診療って何ですか?対面診療と何が違うのですか?」

「オンライン診療は、スマートフォンやパソコンなどの通信機器を使って、医師が患者様を診察する方法です。対面診療と異なり、直接医療機関にお越しいただく必要がありません。ただし、すべての病気や症状がオンライン診療で対応できるわけではなく、必要に応じて対面診療をお願いする場合もあります。」

「この病院でオンライン診療を受けられますか?」

(オンライン診療を実施していない場合):
「申し訳ございませんが、当院では現在オンライン診療を実施しておりません。オンライン診療をご希望の場合は、都道府県のホームページや厚生労働省のホームページで、オンライン診療を実施している医療機関を検索していただけます。」

(オンライン診療を実施している場合):
「当院ではオンライン診療を実施しております。ただし、初診の患者様の場合、まずは診療前相談を行い、オンライン診療が適切かどうかを判断させていただきます。詳しくは、こちらのパンフレットをご覧ください。」

「オンライン診療の費用はいくらですか?保険は使えますか?」

「オンライン診療でも、保険診療の場合は通常の診療と同様に保険が適用されます。ただし、システム利用料など、保険適用外の費用が別途かかる場合があります。詳しくは、診療前に当院のスタッフからご説明いたします。」

「オンライン診療受診施設って何ですか?」

「オンライン診療受診施設は、公民館や郵便局などに設置された、オンライン診療を受けやすくするための場所です。当院で直接診療を行うわけではなく、オンライン診療を実施している医療機関と患者様をつなぐ施設とお考えください。詳しくは、その施設にお問い合わせいただくか、お住まいの都道府県にご確認ください。」

「オンライン診療で薬はもらえますか?」

「オンライン診療でも、医師が必要と判断した場合は処方箋を発行いたします。処方箋は、ご自宅に郵送するか、お近くの薬局にFAX等で送ることが可能です。ただし、初診でのオンライン診療では、向精神薬など一部の薬は処方できない場合があります。」

医療事務が今すぐ準備すべき3つのアクション

自院のオンライン診療実施状況を確認する

まずは、自院がオンライン診療を実施しているかどうかを確認しましょう。実施している場合は、次の点を確認してください。

● オンライン診療の実施方法(使用しているシステム、対象診療科など)

● 現在の運用ルール(初診は可能か、対象疾患は何か、など)

● 届出期限(2027年3月末)の管理

患者向けの説明資料を準備する

患者さんから「オンライン診療とは何か」「どうやって受けるのか」といった質問を受けることが予想されます。そのため、患者向けの説明資料(パンフレットやFAQ)を事前に準備しておくことが重要です。

説明資料には、次の内容を含めると良いでしょう。

● オンライン診療とは何か

● 当院でのオンライン診療の実施方法

● 費用(保険適用の有無、システム利用料など)

● 予約方法

● よくある質問と回答

院内でオンライン診療の運用ルールを共有する

オンライン診療は、医師だけでなく、看護師や医療事務など、多職種が関わる業務です。そのため、院内で運用ルールを明確にし、全スタッフが共有することが重要です。

特に、次の点について、定期的に確認・共有を行いましょう。

● オンライン診療の対象患者(初診は可能か、対象疾患は何か、など)

● 患者急変時の対応手順

● 都道府県への届出状況

● オンライン診療基準の遵守状況(チェックリストの確認)

【執筆者のコメント】

制度変更は「患者さんのため」と捉えて前向きに対応を

私自身、医療の現場で働いてきましたが、制度変更のたびに「また仕事が増える…」と感じることが正直ありました。特に、今回のオンライン診療の法制化は、届出業務や患者説明など、医療事務に新たな負担を強いるものです。

しかし、今回の法制化の背景には「不適切なオンライン診療を防ぎ、患者さんに安全で適切な医療を提供する」という明確な目的があります。つまり、この制度変更は「患者さんのため」なのです。

実際、私が勤務していた医療機関でも、オンライン診療を導入したことで、「通院が困難な高齢者の方が、自宅で診察を受けられるようになった」「育児中の母親が、子どもを連れて病院に来なくても診察を受けられるようになった」といった、患者さんからの喜びの声を多く聞くようになりました。

もちろん、オンライン診療には課題もあります。例えば、「医師が患者さんと対面していないために、得られる情報が限定され誤診等につながりやすくなる」という問題があります。しかし、今回の法制化により、オンライン診療の基準が明確化され、都道府県による指導・立ち入り検査も可能になるため、不適切なオンライン診療は淘汰され、適正なオンライン診療が推進されることが期待されます。

医療事務として、私たちにできることは、制度変更を「患者さんのため」と捉えて、前向きに対応することです。具体的には、次の3つを意識しましょう。

正確な情報を患者さんに伝える

オンライン診療について、患者さんに正確な情報を伝えることが、私たち医療事務の重要な役割です。不正確な情報を伝えてしまうと、患者さんの不利益につながりかねません。

院内でオンライン診療の運用ルールを共有する

オンライン診療は、医師だけでなく、看護師や医療事務など、多職種が関わる業務です。院内で運用ルールを明確にし、全スタッフが共有することで、スムーズな運用が可能になります。

都道府県への届出を忘れずに

すでにオンライン診療を実施している医療機関は、2027年3月末までに都道府県への届出が必要です。「うっかり忘れていた」では済まされないため、必ず期限内に手続きを完了させましょう。

まとめ

2026年4月施行の新制度に向けて今から準備を

2026年4月から「オンライン診療」が医療法に正式に位置づけられ、オンライン診療を実施する医療機関は都道府県への届出が義務化されます。

医療事務として、次の5つのポイントを押さえておきましょう。

① オンライン診療実施医療機関は都道府県への届出が義務化
   → 既に実施している場合は2027年3月末までに届出

② 「オンライン診療受診施設」という新しい仕組みが登場
   → 公民館や郵便局などに設置され、地域住民がオンライン診療を受けやすくなる

③ 「オンライン診療を行っている」ことは広告可能に
   → ただし、広告規制に注意

④ 「オンライン診療基準」が厚生労働省令に格上げ
   → チェックリストで遵守状況を確認

⑤ 不適切なオンライン診療には都道府県が指導・立入検査を実施
    → 院内で運用ルールを明確にし、不適切な診療を防ぐ

そして、医療事務が今すぐ準備すべき3つのアクションは次の通りです。

● 自院のオンライン診療実施状況を確認する

● 患者向けの説明資料を準備する

● 院内でオンライン診療の運用ルールを共有する

制制度変更は、最初は戸惑うことも多いですが、患者さんのためと思って前向きに取り組みましょう。
この記事が、皆さんの実務の一助となれば幸いです。

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