【医療事務必読】2026年8月から高額療養費の自己負担上限が最大38%アップ!窓口で患者にどう説明する?

「高額療養費の自己負担が上がるって本当ですか?」
「今まで8万円だったのに、いきなり11万円になるんですか?」

2026年8月から、高額療養費制度の自己負担上限が段階的に引き上げられることが2025年12月に正式決定しました。最大で38%の引き上げとなり、患者の医療費負担が大きく変わります。

この変更により、医療事務の窓口では患者からの問い合わせや不安の声が急増することが予想されます。「なぜ上がるの?」「私の負担はどうなるの?」といった質問に、正確かつ丁寧に答えられる準備が必要です。

本記事では、2026年8月からの高額療養費制度改正の内容と、医療事務が窓口で患者に説明する際のポイントを、最新情報をもとに徹底解説します。


目次

2026年8月から何が変わる?高額療養費制度改正の3つのポイント

① 自己負担上限額が最大38%引き上げ

高額療養費制度は、医療費の窓口負担が高額になった場合に、所得に応じた自己負担上限額を超えた分が払い戻される制度です。

今回の改正では、この自己負担上限額が段階的に引き上げられます

引き上げスケジュール

● 2026年8月(第1段階):自己負担上限額を約7%引き上げ

● 2027年8月(第2段階):さらに引き上げ、最終的に最大38%増

具体例(年収約370万~770万円の場合)

● 現行:自己負担上限額 約8万円

● 2026年8月:約8万6,000円(7%増)

● 2027年8月:約11万円(最大38%増、所得区分細分化後の高所得層)

② 所得区分の細分化

現行の高額療養費制度では、所得区分が5段階(区分ア~オ)に分かれていますが、2027年8月からはさらに細分化される予定です。

現行の所得区分(例)

■ 区分ウ: 標準報酬月額28万~50万円(年収約370万~770万円)

 → 自己負担上限: 約8万円

改正後の細分化(2027年8月~)

  • 同じ「年収約370万~770万円」の中でも、年収650万~770万円の層は上限が約11万円に引き上げられる可能性

これの何が問題か?

● 所得が少し違うだけで、自己負担額が大きく変わる

● 患者から「なぜ私だけこんなに高いの?」と質問される可能性

③ 70歳以上の外来特例の見直し

70歳以上の患者には、外来診療に限って通常より低い自己負担上限(特例)が適用されていますが、この特例も見直される可能性があります。

【高齢者への影響

● 外来で継続的に治療を受けている慢性疾患の患者は、負担増を実感しやすい

● 「年金生活なのに、これ以上負担が増えるのか」という不安の声

なぜ自己負担上限が引き上げられるのか?3つの背景

患者から「なぜ負担が増えるのか?」と聞かれたとき、背景を理解していると説明しやすくなります。

① 高額薬剤の相次ぐ登場

近年、がん治療や希少疾患向けの超高額な医薬品が次々と保険適用されています。

  • 1回の投与で数千万円かかる遺伝子治療薬
  • 年間数百万~数千万円のがん免疫療法薬

これらの医療費は高額療養費制度でカバーされるため、制度の財政負担が急増しています。

② 高齢化による医療費の増加

日本は世界最速で高齢化が進んでおり、医療費全体が年々増加しています。

● 2025年度の医療費: 約47兆円

● 2040年度の予測: 約70兆円超

高齢者の医療費は現役世代の保険料で支えられているため、現役世代の負担が限界に達しているのが現状です。

③ 現行制度の維持が困難

現在の自己負担上限額のままでは、制度そのものが破綻するリスクがあります。

厚生労働省の見解

「高額薬剤等の相次ぐ登場によって、現在の仕組みのまま高額療養費制度を維持することは難しい」

つまり、制度を守るために、患者負担の見直しが避けられないという判断です。

窓口で患者からよく聞かれる質問5選と回答

2026年8月以降、医療事務の窓口では患者から多くの質問が寄せられることが予想されます。ここでは、よくある質問と回答例を紹介します。

① 「私の自己負担はいくらになりますか?」

回答例

「高額療養費の自己負担上限額は、ご年収によって決まります。2026年8月から制度が変わりますので、ご加入の健康保険組合または協会けんぽにお問い合わせいただくと、正確な金額をお伝えできます。当院では具体的な金額の計算はできませんが、厚生労働省のホームページにも計算ツールがございます。」

ポイント

● 医療機関では個別の自己負担額を計算できないことを伝える

● 保険者(健保組合・協会けんぽ)への問い合わせを案内

● 厚労省の公式サイトを紹介(事前にURLを控えておく)

② 「なぜ急に負担が増えるんですか?」

【回答例】

「高額な医薬品の登場や、高齢化による医療費の増加により、現在の制度を維持することが難しくなっているためです。国は、医療保険制度を将来にわたって持続可能にするために、今回の見直しを決定しました。ご負担が増えることは心苦しいのですが、制度全体を守るための措置とご理解いただければと思います。」

【ポイント】

● 制度改正の背景を分かりやすく説明

● 「制度を守るため」という大義を伝える

● 患者の不安に共感する姿勢を示す

③ 「今までと同じ治療を受けたら、いくら負担が増えますか?」

【回答例】

「具体的な金額は、ご年収や今後の医療費によって変わりますが、例えば現在の自己負担上限が月約8万円の方は、2026年8月から約8万6,000円、2027年8月には所得区分によって約11万円になる可能性があります。ただし、実際にかかる医療費が上限を超えない場合は、従来と変わらない場合もあります。」

ポイント

● 一般的な例を示しつつ、個別ケースは断定しない

● 「医療費が上限を超えない場合は影響がない」ことも説明

④ 「年金生活で払えません。どうすればいいですか?」

【回答例】

「お支払いが難しい場合は、まずはご加入の健康保険組合や市区町村の窓口にご相談ください。分割払いや減免制度がある場合もございます。また、当院でも医療ソーシャルワーカー(MSW)がおりますので、経済的なご相談に乗ることができます。お気軽にお声がけください。」

【ポイント

● 保険者や行政の相談窓口を案内

● 院内のMSW(いる場合)につなぐ


● 「一緒に解決策を探しましょう」という姿勢を示す

⑤ 「いつから変わるんですか?事前に何か手続きが必要ですか?」

【回答例】

「2026年8月から第1段階の変更が始まります。患者さん側で特別な手続きは必要ありませんが、ご自身の自己負担上限額がどう変わるかを事前に確認されることをおすすめします。加入されている保険者にお問い合わせいただくか、厚生労働省のホームページでもご確認いただけます。」

【ポイント

● 変更時期を明確に伝える

● 手続き不要だが、事前確認を推奨


● 情報源を具体的に案内

医療事務が窓口で注意すべき3つのポイント

高額療養費制度の改正に伴い、医療事務として窓口対応で注意すべきポイントを整理します。

① 情報が分からない場合は「計算できません」をはっきり伝える

マイナ保険証があれば適用区分が分かりますが、資格確認書しか持っていいない人は
患者から「私はいくらになりますか?」と聞かれても、医療機関では個別の自己負担上限金額を断定することができません。

NGな対応

● 「たぶん○○円くらいだと思います」(誤情報を与える)

● 「分かりません」だけで終わる(不親切)

正しい対応

● 「申し訳ございませんが、当院では計算できません」と明確に伝える

● 保険者への問い合わせ方法を案内する

② 院内掲示やチラシで事前周知

患者が窓口で初めて知って驚かないよう、事前に院内掲示やチラシで周知しましょう。
周知することによって患者が心の準備ができ、窓口での問い合わせ件数を減らすことができます。

③ スタッフ全員で情報を共有

受付スタッフによって説明がバラバラだと、患者の不信感につながります。

【共有すべき情報

● 制度変更の時期(2026年8月、2027年8月)

● 主な変更内容(自己負担上限の引き上げ、所得区分の細分化)

● 患者への案内先(保険者、厚労省HP、院内MSW)

● よくある質問への回答

執筆者のコメント

医療事務として働いてきた私ですが、今回の高額療養費制度の改正は、患者にも医療事務にも厳しい変更だと感じています。

患者の不安を受け止めることの難しさ

窓口で、患者さんから「こんなに負担が増えたら、治療を続けられない」と涙ながらに訴えられたことがあります。

私たち医療事務は、制度を決める立場ではありません。でも、制度変更の”矢面”に立つのは、いつも私たちです。

患者の怒りや不安を真正面から受け止めるのは、正直つらいです。「私たちに言われても…」と思うこともあります。

でも、患者にとっては、医療機関の窓口が唯一の相談先なのです。

だからこそ、私たちは「一緒に考える」姿勢を大切にしていく必要があります。


私が実際にやっている3つのこと

① 共感する言葉をかける
「負担が増えるのは、本当に大変ですよね」と、まず患者の気持ちに寄り添います。

② できる限りの情報を提供する
保険者の連絡先、厚労省のHP、院内のMSWなど、次のアクションにつながる情報を具体的に伝えます。

③ 「一人じゃない」と伝える
「同じように不安を感じている方はたくさんいらっしゃいます。私たちも、できる限りサポートしますので、遠慮なくご相談ください」と伝えます。

制度の”板挟み”を乗り越えるために

医療事務は、患者と制度の”間”に立つ仕事です。

制度が変わるたびに、患者の不満や不安を受け止め、制度の趣旨を説明し、できる限りのサポートをする。

時には理不尽だと感じることもあります。でも、患者が安心して医療を受けられる環境を作るのが、私たちの使命です。患者の不安を少しでも和らげられるよう、一緒に頑張りましょう。

まとめ

2026年8月から、高額療養費制度の自己負担上限が段階的に引き上げられます。医療事務としてできることを考え、準備を始めていきましょう。

医療事務が今すぐすべき5つのアクション

① 制度変更の内容を正確に理解する
 ・ 自己負担上限の引き上げ時期と金額
  ・ 所得区分の細分化の内容

② よくある質問への回答例を準備
 ・ スタッフ全員で共有し、対応を統一

③ 院内掲示やチラシで事前周知
 ・ 患者が窓口で初めて知って驚かないように

④ 保険者の連絡先や厚労省HPのURLを準備
 ・ すぐに案内できるよう、受付にメモを用意

 ⑤ MSWとの連携体制を確認
 ・ 経済的に困窮している患者をつなぐルートを確認

患者に寄り添い、できる限りのサポートを

高額療養費の自己負担上限引き上げは、患者にとって厳しい変更です。

医療事務として、制度の趣旨を理解し、患者に寄り添った丁寧な説明を心がけましょう。

2026年8月まであと半年。寄り添った対応をすれば必ず患者の役に立てます。一緒に頑張りましょう!

参考になったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次