【保存版】医療事務のクレーム対応マニュアル|受付で本当に使える実践テクニックと「言ってはいけないNGワード」

「また今日もあの患者さんが来た…」「先輩はうまく対応してるのに、なんで私だけ怒鳴られるんだろう…」

医療事務として働いていると、クレーム対応は避けて通れません。待ち時間の長さ、会計金額の疑問、スタッフの態度——理不尽だと感じることもあれば、確かにこちらのミスだったこともあります。

しかし、マニュアル通りの「傾聴→謝罪→解決策提示」だけでは、現場では通用しないのが実情です。

本記事では、現場で本当に使える実践テクニックと、絶対に言ってはいけないNGワード、そしてベテラン医療事務が実践している「裏ワザ」を徹底解説します。

目次

なぜあなたのクレーム対応は「火に油を注ぐ」のか?

多くの医療事務マニュアルには、こう書かれています。

「まずは患者さんの話を最後まで傾聴しましょう」

「不快な思いをさせたことに謝罪しましょう」


「事実を確認して解決策を提案しましょう」

しかし、これを実践しても「話を聞いてないじゃないか!」「謝れば済むと思ってるのか!」と、余計に怒らせてしまうことがあります。

なぜでしょうか?

答えは簡単です。患者さんが求めているのは「マニュアル通りの対応」ではなく、「自分の感情を理解してくれること」だからです。

つまり、同じ「傾聴」でも、相槌の打ち方、視線の配り方、立ち位置によって、受け取られ方がまったく変わります。

クレーム対応の4ステップ+現場で使える実践テクニック

基本的なステップは以下の4つです。

① 患者の話を傾聴して謝罪する

② 事実と要望を確認する

③ 解決策を提案する

④ 意見に対して感謝する

しかし、これだけでは不十分です。以下、各ステップに現場で本当に使える実践テクニックを追加します。

 患者の話を傾聴して謝罪する

【基本】
まずは患者の話を最後まで傾聴し、不快な思いをさせたことに謝罪します。この時、クレームの内容については謝罪しないのがポイントです。事実が不明な段階で謝罪すると、病院側が非を認めたと受け取られる危険性があります。

【実践テクニック①:相槌のバリエーションを増やす】

「はい、はい、はい…」と単調な相槌を繰り返すと、「本当に聞いてるの?」と不信感を抱かれます。以下のように、バリエーションを増やしましょう。

〜 まずは相手への共感を 〜

・ 「そうだったんですね」

・ 「それはお辛かったですね」

・ 「心配なお気持ち、わかります」

・ 「おっしゃる通りです」

・ 「不安になりますよね」

【実践テクニック②:「立ち位置」と「視線」に気を配る】

受付カウンター越しに立ったまま対応すると、「上から目線」に見えます。可能であれば、別室やゆっくり話せる場所に案内し、患者さんと同じ目線の高さ(座る)で対応します。

ただし、患者さんが興奮している場合は、逃げ道を確保できる位置に座ることも忘れずに。

【NGワード集①:この段階で絶対に言ってはいけない言葉】

〜 すぐに反論をしないこと 〜

❌「お気持ちはわかりますが…」
   →「わかってないくせに!」と火に油

❌「そうおっしゃいますが…」
   →「言い訳するな!」と受け取られる

❌「他の患者様もお待ちいただいてますので…」
   →「私だけ我慢しろってこと?」と反発される

 事実と要望を確認する

【基本】
患者の感情が落ち着いたところで、事実と要望を確認します。5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)を意識して、正確に情報を聞き取ります。

【実践テクニック③:「復唱確認」で信頼を得る】

話を聞きながらメモを取り、最後に必ず復唱して確認します。

「確認させていただきます。◯月◯日の◯時頃、◯◯の件で不快な思いをされたということですね。そして、今後同じことが起こらないよう改善してほしい、というご要望でよろしいでしょうか?」
※機械的な確認の仕方にならないように注意しましょう

この復唱によって、「ちゃんと聞いてくれた」という安心感が生まれます。

【実践テクニック④:「メモを見せる」裏ワザ】

ベテラン医療事務が実践している裏ワザがあります。それは、メモを患者さんに見せながら確認することです。

「今、こちらにメモを取らせていただいたのですが、お間違いないでしょうか?」

こうすることで、「きちんと記録されている」という安心感と、「本気で対応してくれている」という信頼感が生まれます。

 解決策を提案する

【基本】
病院側に責任がある場合は深く謝罪し、今後の改善策を説明します。責任がない場合は、どこで勘違いが生じたのかを優しく説明します。

【実践テクニック⑤:「選択肢」を与える】

一方的に「こうします」と伝えるのではなく、複数の選択肢を提示します。

例:「待ち時間が長い」というクレームの場合

❌「次回から予約をお取りください」(一方的)

⭕️ 次回から予約をお取りいただくか、または比較的空いている◯曜日の◯時頃にご来院いただくか、どちらかをご検討いただけますでしょうか?」(選択肢提示)

【実践テクニック⑥:「できないこと」は明確に伝える】

「検討します」「善処します」といった曖昧な表現は、後でさらなるクレームを生みます

できないことは、理由を添えてはっきりと伝えます。

例:「診察順を早めてほしい」というクレームの場合

❌「検討させていただきます」(曖昧)

⭕️「申し訳ございませんが、診察順は緊急度に応じて医師が判断しておりますので、ご希望に沿えない場合がございます。ただし、◯◯のような症状がある場合は、受付にお申し出いただければ医師に相談いたします」(明確+代替案)

【NGワード集②:この段階で絶対に言ってはいけない言葉】

〜 「ルールだから」だけを押し付けない 〜

❌「マニュアルでそう決まっておりますので…」[規則となっていますので…」
 →「融通が利かない!」と反発

❌「私にはわかりかねます」→「無責任!」と怒りが増幅

❌「前例がございませんので…」→「だから何?」と呆れられる

 意見に対して感謝する

【基本】
対応の最後には、必ず意見をいただいたことに対して感謝を伝えます。

【実践テクニック⑦:「具体的な感謝」で印象アップ】

❌「貴重なご意見、ありがとうございました」(抽象的)

⭕️ 「◯◯の件、ご指摘いただきありがとうございました。今後、同じことが起こらないよう、スタッフ全員で共有させていただきます」(具体的)

シーン別クレーム対応:医療事務の「本音」と「裏ワザ」

ここからは、実際によくあるクレームと、その対応を「教科書的な対応」と「現場で使える対応」に分けて解説します。

①:「待ち時間が長い!」

【よくあるパターン】

「もう1時間も待ってるんだけど!いつになったら呼ばれるの?」

【教科書的な対応】

「お待たせして申し訳ございません。もうしばらくお待ちください」

【現場で使える対応】

「お待たせして申し訳ございません。現在、あと◯番目でお呼びできる予定です。目安としては、あと◯分ほどお待ちいただくことになります。この時間帯は大変混み合う時間帯になりますので、もしお時間が取れるようでしたら、次回は◯曜日の◯時頃が比較的空いておりますので、ご検討ください」

【医療事務の本音】

正直、待ち時間は医師の診察ペースや急患の有無で変わるので、「あと◯分」と断言するのは怖い。でも、何も伝えないよりは「目安」を伝えた方が患者さんの不安は和らぐ。外れたら「申し訳ございません、急患が入りまして…」と正直に謝る。

②:「会計金額が高すぎる!」

【よくあるパターン】

「なんでこんなに高いの?計算間違ってない?」

【教科書的な対応】

「機械で計算しておりますので、間違いはございません」

【現場で使える対応】

「お手間を取らせて申し訳ございません。念のため、もう一度確認させていただきますので、少々お待ちください。

ーーー (確認後)

本日は◯◯の検査と◯◯のお薬で、合計◯◯円となっております。明細書にも記載がございますので、ご確認いただけますでしょうか」

【医療事務の本音】

会計金額のクレームは、「本当に間違っている場合」と「患者さんが想定より高いと感じている場合」の2パターンがある。前者はこちらのミスなので即座に訂正。後者は、何にいくらかかったのかを丁寧に説明すれば納得してもらえることが多い。

③:「スタッフの態度が悪い!」

【よくあるパターン】

「さっきの受付の人、すごく感じ悪かった!」

【教科書的な対応】

「申し訳ございませんでした」

【現場で使える対応】

「ご不快な思いをさせてしまい、大変申し訳ございませんでした。差し支えなければ、どのような点で不快に感じられたか、教えていただけますでしょうか?今後の改善に活かしたく存じます」

【医療事務の本音】

「態度が悪い」と言われても、何が悪かったのか具体的に聞かないと改善のしようがない。ただ、患者さんによっては「あなたのことよ!」と逆に怒らせてしまうこともあるので、聞き方には細心の注意が必要。もし自分に非があるなら、素直に謝る。身に覚えがなくても、まずは謝罪して、後で上司に相談する。

④:「診察で何も説明してくれなかった!」

【よくあるパターン】

「先生、何も説明してくれなかったんだけど!薬だけ出されて終わり!」

【教科書的な対応】

「申し訳ございません。先生にお伝えしておきます」

【現場で使える対応】

「ご不安にさせてしまい、申し訳ございません。診察の際にご不明な点がございましたら、次回はお気軽に先生にお尋ねください。もし今すぐお聞きになりたいことがございましたら、先生に確認してまいりますが、いかがでしょうか?」

【医療事務の本音】

これは本当に難しい。医師と患者さんの間に立つのは、医療事務の宿命だけど、両者の板挟みになることも多い。ただ、「先生が悪い」とは絶対に言えないので、患者さんの不安を和らげつつ、医師には「患者さんが不安がっている」と伝える橋渡し役に徹する。

執筆者のコメント

クレーム対応で消耗しないための「心の守り方」

私自身、新人時代は毎日のようにクレーム対応で落ち込んでいました。「なんで私だけ怒られるんだろう」「もう医療事務辞めたい」と何度も思いました。

でも、ベテランの先輩に言われた言葉で救われました。

「クレームを言う患者さんは、あなた個人を責めてるんじゃない。病院に対する不満や、病気への不安を、たまたまあなたにぶつけてるだけ。だから、真正面から受け止めすぎないで」

この言葉を聞いて、クレーム対応が少し楽になりました。

もちろん、こちらのミスで患者さんに迷惑をかけた場合は、真摯に謝罪し改善する必要があります。でも、理不尽なクレームに対しては、「自分が悪い」と抱え込まないことが大切です。

また、クレーム対応後は必ず上司や同僚に報告・相談しましょう。一人で抱え込むと、メンタルが壊れます。

そして、もしあなたが今、クレーム対応で消耗しているなら、「自分を責めすぎない」「完璧を目指さない」ことを意識してください。あなたは十分頑張っています。

まとめ

クレーム対応は「技術」と「心の守り方」の両輪で乗り越える

クレーム対応は、医療事務の仕事の中で最もストレスがかかる業務の一つです。しかし、適切な技術と心構えがあれば、必ず乗り越えられます。

【今日から実践できる3つのアクション】

「NGワード」を意識する
 「お気持ちはわかりますが…」「マニュアルでそう決まっておりますので…」は封印しましょう。

「復唱確認」と「メモを見せる」を習慣化する
 これだけで、患者さんの信頼度が大きく変わります。

クレーム対応後は必ず報告・相談する
 一人で抱え込まず、チーム全体で共有し改善につなげましょう。

医療事務の皆さん、あなたは患者さんと病院をつなぐ大切な存在です。クレーム対応で消耗しすぎず、「技術」と「心の守り方」の両輪で、この難しい仕事を乗り越えていきましょう。

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