マイナ保険証はいつから義務化?メリット・デメリットを徹底解説!!
2021年10月から本格的に運用開始となった「マイナ保険証」ですが、現在の利用率はなんと「4.6%」しかないとのこと。(2024年1月調査 厚生省)
ポイント付与などの誘導によってマイナンバーカードは作ったものの、紙(カード)の保険証に慣れた患者は、いまいちメリットが分からないマイナ保険証は使用しない状況となっています。
そんな「マイナ保険証」について、いつから義務化するのか、メリット・デメリットを患者と医療機関の目線で解説します。
マイナ保険証はいつから義務化される?
マイナ保険証とは?
「マイナ保険証」とは、マイナンバーカードを健康保険証として利用できるもので、2023年4月に全国の医療機関・薬局で「マイナ保険証」を利用するためのシステムの導入が義務付けられて、患者が利用できる環境が整っています。
いつから義務化となるのか?
現行の健康保険証の廃止を
に廃止することを政府が閣議決定しました。
ただし、マイナンバーカードを取得していない人のために、資格確認書を発行(有効期間5年)し、経過措置として廃止後1年間は現行の保険証をそのまま使用できるとしています。
したがって、完全に義務化(例外あり)となるのは「令和7年の12月頃」となります。
例外の資格確認書の運用をいつまで続けるのかは不明ですが、原則は「マイナ保険証」の方針となります。
マイナ保険証のメリットとは?
病院・診療所での受付をスムーズにできる
初めて受診する病院では、患者登録(カルテの作成)が必要になります。従来の保険証の場合、患者氏名、生年月日、保険証の記号・番号などを全て手入力してシステムに登録します。間違いが起こらないように数名のスタッフが確認する体制をとっている医療機関も多いため、登録するまでに時間がかかります。
「マイナ保険証」の場合、専用の機械でマイナンバーカードの読み込みを行うことで全ての情報が自動で登録されるため、待ち時間が短縮されます。
過去の健康診断結果や処方歴を診察時に使用できる
マイナンバーカードの読み込み時に情報提供に同意することで、過去の健康診断の結果、及び、処方歴についての情報を受診する病院へ提供することができます。
過去の健康状態や処方歴の情報を口頭で説明する手間が省け、正確に医師に伝えることができるため、より充実した治療を受けることができます。
医療費が安くなる
意外と知られていないのが、従来の保険証と「マイナ保険証」のどちらを提示するかによって医療機関に支払う料金に違いが出ることです。
「マイナ保険証」を利用すると・・・
【現在】(2024.5.6)
→ 初診:40円、再診:20円(10割)お得
【2024.6〜】2024年診療報酬改定
→ 初診:20円、再診:10円(10割)お得
限度額認定証の申請が不要となる
外来での日帰り手術や入院などにより医療費が高額となった場合、従来の保険証の場合はその人の年収に沿った自己負担限度額のみの支払いとなるように役所に限度額認定証の手続きが必要となります。
「マイナ保険証」の場合、限度額の情報を医療機関が確認することができるため、別途限度額認定証の発行が不要となり、手続きの手間が省けます。
ポータルサイトで健康管理ができる
専用のポータルサイトにて、過去の健康診断の結果や処方歴について確認することができ、健康管理に役立てることができます。※医療費の情報を閲覧することもできます。
就職・転職・引っ越し時・定期更新の切り替えがスムーズ
従来は就職や転職、引っ越し時をした際は手続きが必要です。
「マイナ保険証」は不要で、切り替え手続きをしていれば、そのまま使用することができます。また、国民健康保険や後期高齢者医療制度で必要だった定期的な更新も不要となります。
医療費控除の確定申告を自動でできる
従来は医療費は領収書を管理して確定申告が必要で手間がかかるものです。
「マイナ保険証」を使用していれば、マイナポータルとe-Taxの連携により医療費控除項目を自動入力することができ、簡単に申請ができます。
個人情報流出を防ぐことができる
医療機関では、紙(カード)の保険証を登録する際は、目視確認で手入力して登録しているため、間違いが起こらないように確認用として保険証をコピーしてデータとして保管する運用をとる病院が多いです。紙で情報が残るため、廃棄の仕方によっては個人情報の流出となる恐れがあります。
「マイナ保険証」を使用していれば、データは自動入力となるためコピーを取る必要性がなく、個人情報流出を防ぐことができます。
保険証情報の登録誤りによる診療報酬請求の遅延を防ぐことができる
医療機関は診療報酬請求を行いますが、その際に登録されている保険情報に誤りがあればレセプトは返戻されその分請求が遅延することになります。
「マイナ保険証」を使用していれば、自動入力のため登録の誤りが起こることがないため、返戻による請求の遅延を防ぐことができます。
マイナ保険証のデメリットとは?
システム障害が発生している時は使用できない
保険情報のデータを保管している機関のシステム障害、及び、受診する医療機関でシステム・ネットワーク障害などが起きると、インターネットを使用して情報を取得する「マイナ保険証」は利用することができません。
紛失した際の再発行に時間がかかる
マイナンバーカードの再発行には1ヶ月半から2ヶ月程度かかります。保険証の発行に比べてかなり時間がかかります。
個人情報漏洩の危険がある
マイナンバーカードの情報紐付けなどの人的・機会的ミスが相次いでいます。完璧なシステム・運用でないと言わざる負えない状況のため、個人情報漏洩の危険があると思われます。
再診時の保険証確認は従来の保険証の方が短時間で出来る
再診時の保険証確認は、すでに登録しているデータから変わっていないかを目視点検するのみです。
確認は数秒で終わります。
「マイナ保険証」の場合、患者に読み取りの機械を操作してもらい、受付職員が取り込み操作を行う必要があります。患者に操作してもらう手数も多く、高齢者の場合1人あたり対応に1分以上かかる場合もあります。
資格確認書との併用は受付に手間がかかる
原則「マイナ保険証」となりますが、マイナンバーカードを所有しない人のために資格確認書の運用も行うため、併用の運用が必要となります。
「資格確認書」と「マイナ保険証」の患者が混合するため、運用を分ける必要があり受付職員の運用に手間がかかり、負担が増えます。
執筆者の意見(医療機関スタッフとして)
「マイナ保険証」がいつから義務化となるのか、またメリット・デメリットについて解説しました。
メリットも多い反面、医療機関としてはシステムの仕様(利用のしやすさ)については不満が多いように思います。
原則義務化となり、基本的には全ての患者が「マイナ保険証」を使用するようになるため、患者にとっても、医療機関にとっても利用しやすい(特に受付時の簡便さを重視した)システムへの仕様変更も政府は検討すべきではないかと思います。