診療報酬改定が6月施行はなぜ?その理由を解説します

2024年は2年に1回の診療報酬改定の年です。
今年はいつもの改定と大きく違うことがあります。

2024年度の診療報酬改定は、6月1日施行となり例年よりも後ろ倒しとなりました。
※薬価改定施行:4月、経過措置:9月までは例年通りのスケジュール

これまで診療報酬改定のスケジュールは2月に答申、3月に告示、4月に施行、5月に初回のレセプト請求の流れで行われてきました。

答申:厚生労働大臣の諮問を受けて中医協が具体的な診療報酬点数の設定に係る調査を行い、改定案を提示することです。

告示:厚生労働大臣が答申を受けて確定した内容を発出することです。

では、なぜ2024年から施行が6月になったのでしょうか?今回はその理由を解説します。

目次

理由①:医療機関の負担を減らすため

医療機関は診療報酬改定の年は12月頃から情報を集めつつ、3月の告示を持って急ピッチで内容を確認し対策を検討する必要があります。

告示から施行までに1ヶ月しかなく、事務長を含めた病院経営管理者や院内システム管理者、及び、医療事務スタッフにはかなりの負担です。施設基準などを含めて増収になるのかなどの検討をしたり、準備はどうすれば良いのかなど分析・決定を短期間で行わなければならないことがこれまで課題となっていました。

それに加えて3月は年度末のため何かとしなければならないことも多く、業務負荷がピークとなり職員の疲弊が問題となっているのも事実です。

診療報酬改定の内容が告示された後、医療機関は以下のような対応が必要になります。

・病院の方針確定(改定内容を踏まえて経営視点からの運用変更などを検討)

・システムのマスタ整備(システム管理者、医療事務スタッフなどが対応)


・指導料や加算などの算定追加に関する内容の患者向け院内掲示、資料作成


・医師、看護師、その他医療スタッフへの教育(改定内容周知、電子カルテシステム変更内容周知)


・医療事務スタッフ教育(算定方法の周知)

これらの作業を例年より2ヶ月余裕を持たせることで、職員の負担を減らすことができます!

理由②:システムベンダーの負担を減らすため

システムベンダーは、3月の告示後に医療機関が検討して決定した内容に沿ってシステム改修を行う必要があります。

つまり、その期間は1ヶ月もない状態です。(※改修準備はできる限り事前に行なっていますが、実際に内容が確定するのは3月になります)そんなタイトな期間で開発・テスト・導入を行う必要があり、各病院ごとにカスタマイズしていることが多いため、改定対応に従事するシステムエンジニアの稼働が通常の2倍、3倍必要となります。

もちろん全ての医療機関が診療報酬改定に対応する必要があるため、医療系システムベンダーは3月は最も過酷な月(デスマーチと呼ばれる)となっていることは間違いないです。

そして、短期間で開発から導入までを行うことによりバグが発生しやすく稼働後に問題が出てくるケースも珍しくありません。そういった悪循環がこれまで続いていました。

それらの問題を解決するためにスケジュールを後ろ倒しにして、2ヶ月の余裕を持たせることでシステムベンダーの人員の逼迫軽減を目指しています!

まとめ

今回の施行2ヶ月後ろ倒しは、医療機関においてもシステムベンダーにおいてもハッピーな対応だったと思います。

これまでなぜ早くこうしなかったのが不思議なくらいです。特にシステムベンダーにおいては、システムの稼働が多い4月から診療報酬改定対応が外れるだけでもかなりの影響だと思います。

薬価改定が4月で診療報酬改定が6月なので、システムの改修対応が2回発生し、ベンダーが保守費用などを増額したりしないのか?などの話題もありましたが、その点はシステムベンダーは柔軟に対応するところが多いようです。

今回初めてのスケジュール変更となりましたが、特に大きな問題も今の時点では起きていないので、今後はこのスケジュールが定着すると思います。

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